厚労省が発表している「日本人の食事摂取基準」というものがあります。
これは健康の維持・生活習慣病の予防ための適切なエネルギー・栄養素の摂取量の基準を示したものです。
この中では三大栄養素と呼ばれる「炭水化物・タンパク質・脂質」の推奨摂取量のバランスが記載されています。
しかしこれに目を通してみるとそれぞれの割合には明確な根拠というものは存在していないことがわかります。
炭水化物の基準に根拠なんてない
例えば炭水化物の摂取目標量は総カロリーの50%~65%とされています。
日本人の食事摂取基準(2015年版)-Ⅱ各論.エネルギー産生栄養素バランス
炭水化物を三大栄養素のひとつとしているのであれば、摂取量が不足すると健康へどんな影響があり、摂りすぎるとどんな害があるかという科学的根拠のもとで基準量は決定されるべきです。
しかしこの割合の決め方は単純に「たんぱく質と脂質の目標量を先に定めた残り」、つまり100%から引き算しただけ。炭水化物はこの量の範囲で摂るのが健康に良い、という根拠は全く示されていません。
1日の必要カロリーが2000kcal(女性30~49歳の推定エネルギー必要量)だとすると250g~325gの炭水化物を一日で摂る必要があります。
素直にこれに従うとどうなるでしょうか。
1日3回、毎日糖負荷試験をしましょう
1日250gの炭水化物を摂るとすると1食あたり約83gです。
糖尿病の検査の一つに『75g経口ブドウ糖負荷試験』というものがあります。絶食状態で75gのブドウ糖を実際に摂取してその後の血糖値の上がり具合を調べることで、糖尿病であるかどうかの判断基準のひとつにする、というものです。
この検査で使われていることからもわかるように、75gのブドウ糖というのは血糖値を大きく上げるのには十分な量です。糖尿病の場合は食後血糖値が200mg/dlを超えることがあるほどです。
つまり250gの炭水化物を1日に食べるということは、この検査で摂取するブドウ糖75gを上回る量の炭水化物を1日3回毎食摂れ、ということなのです。
これが健康を維持するため、病気を予防するための栄養素の量だとはとても考えられません。
糖尿病でない人の場合でもこれほどの炭水化物を摂取すれば血糖値が大きく上がります。
血糖値の乱高下が動脈硬化を進行させ心筋梗塞や脳梗塞などを起こりやすくすることは明白です。過剰な糖質摂取によって体脂肪を増やすうえ、インスリンを分泌しているすい臓を疲れさせて糖尿病を発症させやすくすることも目に見えています。
なにかがおかしい栄養学
どうしてこのような基準量が設定されてしまっているのでしょうか。
バランスの決め方は
↓
たんぱく質は総エネルギー中の何%摂るべきかを決定する
↓
同様に脂質を何%にするかを決定する
↓
残った分を炭水化物の必要量とする
という順序です。
この順番か、もしくはこの中のどれかの数値の決め方が不適切なことになります。
たんぱく質の必要量か、脂質の必要量か。はたまた必要総エネルギー量なのか。根本的にカロリーという考え方自体からがおかしいのかもしれません。
少なくとも、この基準に従ってバランスのいい食事を心がけると、糖質の過剰摂取を招きます。
糖質を減らそうとこのバランスのまま全体の摂取量を減らすと、たんぱく質・脂質は必要量を下回ってしまいます。たんぱく質と脂質は炭水化物とは異なり必須栄養素です。これらの摂取が不十分であることは栄養不足であるといえます。
結果として、厚労省が推奨しているこの三大栄養素の比率を守っている限りは、食べる量が多くても少なくてもバランスが悪い食事になってしまうのです。
おすすめ記事
劇的に早くきれいにキズを治す秘訣。痛くない簡単グッズまとめ。【湿潤療法・やけど・ケガ】