皮膚の話

消毒薬は捨てよう。|湿潤療法の基本知識(理論編2)

『湿潤療法』とはキズを「乾かさない」「消毒しない」ことにより、「痛くせずに」「キレイに」「早く」治すことができる現代のキズの治療法です。

現在さまざまな湿潤療法を利用したグッズが販売されていますが、それらを正しく使いしっかりと効果を発揮させるために必要なことを紹介します。


劇的に早くきれいにキズを治す秘訣。痛くない簡単グッズまとめ。【湿潤療法・やけど・ケガ】

【湿潤療法の基礎知識】
  1. 理論編1:キズを乾かしてはいけない理由  
  2. ←いまここ
  3. 理論編3:菌は悪者ではない。
 

 

 

キズを消毒をする目的は、例外なく「キズの細菌感染による化膿」を防ぐことであるはずです。
そのための「キズに消毒薬」は昔からの常識でした。

はたしてこれは正しいのか。消毒することで菌は殺せているのでしょうか?化膿を防ぐ、もしくは化膿を治すことはできるのでしょうか?

 

消毒薬の作用は「タンパク質の変性」

消毒薬の殺菌作用は、細菌の構造を直接的に変性させることに由来します。
そしてこのターゲットとしている構造とは細胞膜、細胞質、核の「タンパク質」です。
細胞の主要パーツであるこれらをダメにしてしまうことで細胞を殺すことができます。
 
これはひとたび変性してしまえば決してもとにはもどらない、不可逆的な変化です。
生卵をお湯に入れてゆで卵にしたら、もとの生卵にはゼッタイに戻らないのと同じことです。
こういったタンパク質の変性は消毒薬だけでなく、熱湯消毒、洗剤などの界面活性剤などでも同様に起こります。

 

消毒薬は無差別テロ

しかしこの細胞膜、細胞質、核を持っているのは細菌に限った話ではありません。

人間の細胞も同様に細胞膜、細胞質、核を持っています。
そして、消毒薬は細菌のタンパク質のみを選んで狙い撃ちすることはできません。
すなわち細菌を殺そうと皮膚に消毒薬を塗ると、皮膚の細胞も殺すことになるのです。
 
手指消毒を繰り返す医療従事者や食品関係者に手荒れが多いのはこのためです。
食器洗いを繰り返す主婦、シャンプーを繰り返す美容師が手荒れを起こすのも同様です。
洗剤もタンパク質の変性を起こすからです。

 

 

さらに細菌が消毒薬で死なない場合もあります。
使った消毒薬がその菌に対して有効なものでなかったり、細菌が消毒薬に対して耐性を持っていたり、キズから出ている滲出液や血液やかさぶたなどによって消毒薬が細菌に対する消毒作用を失っていたりするからです。
しかし、
つまり細菌を殺そうと使った消毒薬は、細菌は殺せずに皮膚細胞のみを殺してしまう場合もあるわけです。
悪人を殺そうと街なかでマシンガンを乱射した結果、最終的に市民だけピンポイントでを殺してしまうようなものです。
 

 

悪人を殺せればそれでよし?

でもキズに悪い影響があったとしても菌を殺せたら化膿を防げるんだからそれでいいんじゃないの?

そう思うかもしれません。
しかし、それは間違いなのです。
これを理解するためには化膿はどうやって起こるのかを知る必要があります。
くわしくはまた次回に。
 

 

消毒薬はリスキー

消毒薬はアレルギーを起こすことが実は多いです。


採血のときに針を刺す部分に消毒をしますが、看護師さんは必ずアルコールにアレルギーがないかをたずねられますよね。

皮膚が赤くなる程度であればまだいいのですが、アナフィラキシーショックを起こして命の危険につながる場合もあります。

「キズの治療」というのと「ショックを起こす可能性」とを天秤にかけたら、消毒薬の使用はあまりにも「ハイリスク、ローリターン」ではないでしょうか。
ましてや消毒薬に化膿を防ぐ効果がないのであれば「ハイリスク、ノーリターン」です。
さらに消毒薬でキズの治りを遅らせてしまうので結論は「ハイリスク、ハイリスク」です。

あら、リスクしか残らなくなってしまいました。

 

消毒してもキズが治る理由

以上をふまえても、「今まで消毒したけどキズはちゃんと治った。」という経験もあるでしょう。

消毒医師もこの経験があるため患者に消毒をやめません。
 
キズが治った理由は「消毒薬による妨害を乗り越えられるほどの自然治癒力を持っていたから」です。
決して「消毒をしたから」ではありません。
消毒をしていなければもっと早く、きれいに、痛い思いをせずに治っていたことでしょう。
 
これは「カゼ薬を飲んだからカゼが治った」のか「カゼ薬を飲んでいるあいだに自然とカゼが治った」のかの違いと同じようなものです。
カゼ薬もカゼの治りを遅らせるものですから。
 
現実には消毒を「使用する未来」と「使用しない未来」の両方を選択することはもちろんできないので双方を比較することはできません。
ただし消毒薬の作用、人体への影響を客観的に考えればどちらを選択した未来がシアワセなのかがわかるのではないでしょうか。
 
 
 

 

まとめ

消毒薬はキズの治りを遅くします。

使うメリットが見当たりません。
したがって、消毒薬は捨てましょう。
 
ちなみにドアノブとか汚染したトイレとかに使う消毒薬は別の話ですよ!
今までの話はあくまで人体に対する消毒薬の話です。
 

 

 

 
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