皮膚の健康や美容に関してを論じる記事では「皮膚常在菌」についてを触れていないものは総じて信用ならないです。
それほど大切な存在なんです。
「細菌や真菌の感染リスクが高い」はだいぶウソ。頻回の界面活性剤で皮膚常在菌が死滅してるほうが感染リスクが高くなるのは明らか。新しいものがぶれはむしろシャンプーを使う人のほう/シャンプーを使わない「湯シャン」は危険か?米医学界で大論争 https://t.co/1LpbLLpbRh
— アイズユウスケ (@aizuyusuke) 2016年2月7日
シャンプー剤を使わない人は、真菌や細菌への感染リスクがある。
『ノー・プー』では頭皮の炎症、フケやニキビなどが生じる可能性もある。
シャンプーを使わないで洗髪するなんて、気持ちよくないですよね。アメリカ人は、こう言う類の話が好きですよね。「新し物かぶれ」とでもいうんでしょうか? ドクタースマートは、毎日シャンプーを使って、きれいに髪を洗っていますよ。(記事より引用)
シャンプーの歴史はここ100年ちょっとしかないんだからシャンプーする人たちこそ「新しい物かぶれ」でしょう。何万年もシャンプーなしで人間は生きてきた。今存在が当たり前なのでそうは感じないでしょうが。美容業界の宣伝力はすごいと思う。それまで存在しなかったものを当たり前にしたんだから。
— アイズユウスケ (@aizuyusuke) 2016年2月8日
「シャンプーなしでは健康な皮膚を保てない」というのが正しいとすれば、
シャンプーが存在するまでの人類の頭は感染症まみれということになりますね。
さらに言えばカラダを洗うための石けんができる前は全身が感染症になることは避けられなかったということです。
そんなわけはないですよね。
つまり石けん、シャンプーがなくても皮膚の健康は保てるということです。
そしてシャンプーしないとキレイにならないというのも当然の認識になっている。お湯で皮膚、髪につく汚れはほとんど落ちる。ベタつきが残ることもない。わたしはむしろちょっとカサつくくらい。お湯だけで乾燥ぎみなのにコレにシャンプーつけてガシガシ洗ってたんだと思うとかゆくなって当然だったな。
— アイズユウスケ (@aizuyusuke) 2016年2月8日
ちなみに日本では明治時代に国により「衛生」の概念が急速に広められ、現在の「清潔感」の常識が定着しています。
もくじ
皮膚常在菌は人間の味方
だれの皮膚にも菌がたくさん生息している
「皮膚常在菌」とはその名の通り、通常の皮膚上に存在する菌の総称です。
腸内に数十兆個の細菌が住みついていることはよく知られていると思います。
それと同様に、皮膚上にも約一兆個の常在菌が住みついているんです。
通常の皮膚上にいるわけですからもちろん悪い菌ではありません。「菌」という言葉のイメージだけでバッチイものと思ってはいけませんよ。
人体にとってはとても有益、むしろ正常な皮膚状態を保つためには不可欠な存在です
皮膚における「善玉菌」とでも呼べるでしょう。
「表皮ブドウ球菌」がその代表です。
菌は自分のために生きているだけ
細かいことをいうと菌には「良い菌」も「悪い菌」もありません。これは腸内細菌、皮膚上の細菌、その他すべてに言えることです。
あくまで人間都合の勝手な視点での「良い」「悪い」であり、菌からすれば自分が生息しやすい環境、増殖しやすい環境に住みついているだけです。
菌が住みやすい環境を作れば菌は勝手に増えていき、逆に住みにくい環境を作ればその菌は自ずと減っていきます。
人間にとって不都合な菌にいなくなって欲しいと願ってせっせと殺菌をしたとしても、その環境が菌にとって住みやすい環境であり続ける限りは菌は増殖し続けます。
皮膚常在菌は皮脂を分解してくれるいいやつ
皮膚常在菌は皮膚に分泌される皮脂や汗をエサとしています。
これだけでもお互いにとって利益になっていることがわかると思います。
人間にとっては余分なものを分解してくれ、菌からすればエサとなるものを分泌し続けてくれているわけです。
いわゆる「共存」。win-winの間柄ですね。
さらに常在菌が皮脂や汗を分解することでできる「脂肪酸」は皮膚上を弱酸性にします。
感染症のもととなる悪い菌の多くは反対のアルカリ性を好みます。
つまり皮膚が弱酸性の状態になることで、常在菌にとっては繁殖しやすく、感染症のもととなるわるい細菌が繁殖することを抑えることができるわけです。
だからなのか、少し前にはこの弱酸性を推す商品が多かったですね。
洗剤により常在菌は減ってしまう
界面活性剤の原理により油汚れが落ちる
石けんの成分は「界面活性剤」です。
これが本来混ざり合うことができない水と油とを混ざりあうように作用することで、油汚れを落とせるようになります。
「シャンプーで頭皮の脂が落ちてサッパリ」「食器洗剤で油汚れがスッキリ」になるのはこのためです。
シャンプーだろうが洗剤だろうがこの原理は同じです。
洗いすぎには悪影響がある
しかし石けんは、皮膚常在菌が生きにくい環境を作り出してしまうのです。
前述したように常在菌のエサは皮脂や汗です。
それを洗い流すという行為は常在菌が住みにくくする環境を作るということ、つまりは感染症の元となる菌が繁殖しやすい環境を作るということです。
さらには過度に足りなくなった皮脂を補うために、皮脂腺からはさらなる皮脂が分泌されます。
つまり洗いすぎることで皮膚の乾燥を招き、乾燥することで皮脂の過剰分泌を招くとこになります。皮肉なことに、せっせと洗うことでかえって皮脂が多いテカテカ顔になってしまうのです。
通常の皮膚であれば常在菌が皮脂を分解してくれますが、その常在菌を洗い過ぎたために生息数が少なくなってしまっているわけです。
皮脂が過剰ではニキビもできやすくなります。
洗剤をつけなくていけない汚れはほとんどない
洗剤をつけなくてはいけないほどのカラダの汚れは、通常はありません。
サラダ油をカラダに塗って人の上をすべったり、灯油を頭からかぶったりしたのなら別です。
汗も皮脂の分解物も水で流れます。髪のワックスも少量であればお湯だけで落ちます。さらには長時間流水にあてる、水温を上げることでさらに除去されます。
ワックスをつけた後の手を、お湯のみで洗ってみてください。案外ほとんど落ちるものです。
洗顔料とボディソープはよけいに使いたくない。冬場風呂上がりに乾燥してかゆい人はボディソープやめるだけで軽快できますよ。皮脂をこそぎとってカサカサにしてまで取りたい汚れが毎日ついているとは思えませんよ。
— アイズユウスケ (@aizuyusuke) 2016年2月8日
わたしは普段は入浴で洗剤は使いません。シャワーだけで済ます時もそうです。
それでも入浴後は顔がカサついてしまうときはワセリンを塗ります。
ワセリンはカサカサ部分の保湿のほか、ヒゲソリ後や鼻をかみすぎた時や日焼けのひりひりに、手指の皮むけに、キズやヤケドにと幅広ーく使えるものです。
高い美容液などの化粧品は不要ですよ。そう、ワセリンがあればね。
お湯だけで洗ってもカサついてしまうのは、おそらく水温が高すぎるんだと思います。
でも冬は熱めのお湯でないと寒くてしょうがないのでむずかしいところですね。
洗わないだけで皮膚の乾燥は改善
皮膚科では「皮脂欠乏性皮膚炎」と診断される皮膚炎が冬によく見られます。
その名の通り皮脂が少なくなりすぎることでひどくカサカサになり、炎症を起こしかゆくなってしまう皮膚炎です。
だれでもなり得ますが、とくに高齢者に多いです。
主な原因は入浴のしかたと暖房の使い方です。
もうおわかりと思いますが皮脂が欠乏する大きな原因は、「皮脂を落としすぎて常在菌を死滅させてしまうこと」です。
悪い入浴法として、
- 「毎日」
- 「熱めの湯船」に
- 「長時間」はいって
- 「石けんをつけて」
- 「ゴシゴシこすり洗い」をして
- 「入浴後に保湿をしない」
です。
すべて当てはまる人もいれば1つ2つくらいしか当てはまらない人もいるでしょう。しかしこれは1つ当てはまるだけでも入浴後の乾燥が起こりやすいです。
高齢者はもともとカラダの水分量が減少しているうえ、このような古風な(?)洗い方が習慣化してしまっていると考えられます。
石けんとナイロンタオルは使わずにぬるめのお湯でさっと洗い流す程度の入浴ができれば、皮脂欠乏性皮膚炎はかなり防げる&改善できるでしょう。
同様に石けんを使って手洗いをくり返す場合も乾燥、荒れをひどくします。手指消毒もしてるならなおさら。荒れた手は常在菌が少なく、黄色ブドウ球菌などが優位となり感染、化膿を起こしやすくなります。皮膚常在菌をしっかり保つのが皮膚を健康にするコツ。美容もしかり。
— アイズユウスケ (@aizuyusuke) 2016年2月8日
消毒薬は細胞を破壊することで菌を直接殺します。
菌を殺すということはもちろん常在菌もです。
場合によっては本来殺したいはずの「感染症のもととなる菌」は殺せずに常在菌しか殺さず、結果手荒れを起こしやすくなります。
常在菌を育てよう
界面活性剤は洗剤のみならず、「水と油が混ざり合っているもの」すべてに含まれています。クリーム全般、化粧品全般などさまざまです。
これを意識できていないと、皮膚に良かれと思ってしていることが結果的に悪いことをしていることになりかねません。
最近、「腸内フローラ」と呼ばれるように腸内常在菌を育てようと言う流れが起きています。
この腸内フローラの認識が広まれば皮膚常在菌ももっと認知されるんじゃないでしょうか。
皮膚にも同様に常在菌がいて健康を保ってくれていることを意識するべきです。